生活ホームにおける虐待の報告と改善策について

社会福祉法人つぐみ共生会(つぐみ共生会)が運営する生活ホームの入居者に対して,外部組織の介助者による身体的虐待が発生しました。

虐待の発見が遅れ,本虐待の発覚後も早期に適切な対応ができなかったこと等について,つぐみ共生会は厳粛に受け止め,深く反省するとともに,関係者の皆様に心よりお詫び申し上げます。

以下,本虐待の内容と今後の改善策についてご報告いたします。

1. 虐待の概要
生活ホームで,身体的虐待が発生しました。概要は以下の通りです。

虐待の発生日2021 年12 月21 日,夕方
虐待の発覚日2021 年12 月24 日,夕方
虐待の通報2021 年12 月28 日,17 時頃越谷市(障害福祉課)に電話で通報
同日,20 時28 分にFAX で事故報告
虐待の場所生活ホーム
虐待の状況外部の介助派遣事業所から派遣されている介助者(50 代)が,生活ホーム入居者(40 代)に対して,入居者の身体に調理後の熱を帯びている調理器具を押し当て,火傷を負わせた。
虐待後の対応2021 年12 月27 日,虐待者に事実確認後,生活ホームの出入り禁止を通達。(介助派遣先からは介助者解雇を通達)

2. 虐待に対する検証委員会の取り組み
つぐみ共生会の理事会は,本虐待を検証するために検証委員会の設置を3月20 日理事会で決定し,3月26 日に「生活ホーム入居者虐待検証委員会」(検証委員会)を発足しまし
た。検証委員会は調査や会議を行い,その結果を「生活ホーム入居者の虐待検証報告書」にまとめ,2022 年7 月28 日につぐみ共生会理事長に提出しました。
検証委員会の報告書を受け,つぐみ共生会における課題と改善策をご報告します。

3. 事故対応及び管理体制,支援の質の向上からみたつぐみ共生会の課題
本虐待において,生活ホームを運営するつぐみ共生会の大きな問題点としては,虐待の発見と越谷市への通報が遅れたことにあります。
その理由の1つとして,つぐみ共生会の職員は,障害者虐待の防止と対応に関する知識・認識が不十分であったことがあげられます。事実確認の方法も不十分でしたし,事実確認
後の関係機関への連絡順序の認識も不十分でした。その前提として,平常時における虐待を含む危機管理や,危機に対応するための体制づくりも不十分でした。
また,もう1つの理由として,生活ホームの職員体制に問題があったことがあげられます。生活ホームの運営に関して,生活ホームの職員の業務・役割が不明確であったり,同職員に対する支援体制が不十分でした。

4,虐待防止の対策・対応に向けた改善策
(1)「虐待防止」を徹底し,「虐待防止の改善」のための取り組みを前進させる。
  1. 平常時から,「虐待防止」の取り組みを職員全員で実行する。
  2. 「虐待防止委員会」「虐待防止対応規程」「危機管理マニュアル」を,職員・障害当事者・関係者にわかりやすく周知するとともに,職員全員が確実に実行する。
  3. 県の虐待防止研修会に参加する。かつ,つぐみ共生会と介助派遣事業所が協働して,職員・障害当事者・関係者に対する虐待防止の研修会を毎年行う。
  4. 日頃経験するヒヤリハットを口頭の報告で終わらせず,記録に残して情報共有し,原因・対策を検討して,今後の虐待防止・事故防止に活かしていく。
(2)虐待発生時に,「虐待防止対応規程」「危機管理マニュアル」に則った迅速な対応
  1. 虐待発生時には,虐待の事実確認から問題の解決・改善に至るまで,責任を持って対応する。
  2. 虐待の事実確認は複数で行い,事実を記録し,職員間での検討を十分に行う。
  3. 虐待の事実が確認された場合には,関係機関への対応(障害福祉課への通報)を速やかに実施する。
  4. 虐待の発生時点において,被虐待者の安全確保,虐待者に対する対応を行う。
(3)支援の質向上のための組織改革
  1. 日頃から職員同士の意思疎通や,現場での課題等を共有し,虐待・事故の対応策を共に検討できるような職場作りを行う。
  2. 生活ホームの役割・目的・業務内容を明確化し,生活ホームの業務内容を確認できる業務マニュアルを作成する。
  3. 段階的な教育など,新人教育に必要な内容と方法を検討し,実施する。
  4. 外部介助者に対する支援体制を,つぐみ共生会と介助派遣事業所が協働で見直す。
  5. 生活ホーム制度は,サービス管理責任者や個別支援計画の作成を必要としていないが,入居者個々の支援方針をチームで定期的に検討,確認し,共有していく。
  6. 通所者自治会活動の活性化など,当事者による権利擁護活動を強化する。
  7. 要介助者と介助者の関係や,介助者の価値観や介助方法を振り返る機会を持つことが大切である。つぐみ共生会が,介助者同士で話し合うなどの場をつくる。

今後は,職員・障害当事者・関係者が,虐待・権利侵害に関する知識や意識をより持つようにし,虐待防止の対策・対応に向けて取り組んでいきます。


【お問い合わせ先】 社会福祉法人つぐみ共生会〒3430037 埼玉県越谷市大字恩間新田249
TEL:048-975-8511
(担当者:星名良浩,内藤 純)